2016-01-01から1年間の記事一覧

短日のさよならを言ふ名残惜し

ローカル線の車掌の訛冬ぬくし 冬ざれのフェアウェイに日矢の射す 山襞のまぢかに見えて冬ぬくし 四万十やのぼりきらざる冬の霧 枯欅花の咲く如鳥遊ぶ

老ゆことも楽しかりけり小春かな

朝露を宿し煌めく花蕊かな 二上の鞍より日出づ冬立つ日

東塔は覆屋にあり天高し

ちんまりと艶やかなりし秋茄子 ビル群を包み込みたる秋の虹 山の端に入り日につづく稲筵

◎産衣着せるやうにぶだうに袋かけ

まだ堅き薄を壺に抛げ入れて 艶めかし茹で落花生の殻を剥く 過疎の村に越して来し画家秋薊 白珠の卵曝して大蛾果つ

◎高原のお嬢さんとなる夏帽子

初蝉や木立の中の無言館 青春を再び歩くお花畑

◎たましひにぽっとあからむ蛍かな

◎戻り道にもう蜘蛛の囲のできてをり

がにまたのまま動かざり蟇 あぢさゐの重さゆらりと壺に活く

◎待つこともまた楽しけれ日脚伸ぶ

去年共に愛でし人無く梅の咲く ちろちろとイヤリング揺れ青き踏む 大路より小路に入りて冴返る 春めけり群青の空眉の月 川の面風煌めけり寒明くる 6句投句して全部採っていただきました!

寒梅の命犇めく蕾かな

山門より眺む金剛雪雲に 飛び石のまにまに青き冬の草

忙中閑好きな本もて炬燵かな

この家の一年見てゐし古暦 やはらかき午後の日ざしや芝枯るる

野牡丹の花弁散り敷くままにして

有明の月に漁火駿河湾冬燦燦太陽光のパネル屋根