2017-01-01から1年間の記事一覧

◎綿虫に小さな天使の翅のあり

底見せて細くうねるや冬の川 枯尾花ちぢれて風のなせるまま 割烹着の良さつくづくと師走かな アルミ箔に包まれ焼藷転がれり

◎雹の痕靨と言はる林檎捥ぐ

海鼠壁掘割銀杏落葉かな 赤赤と鳥居のつづく神の留守 天も地もすきとほりたり冬茜 綿虫のつかずはなれずつきまとふ 炉開のけふはきものを初初し

◎大戸繰る三和土のくぼみ秋湿り

◎押し並べて斜交ひに咲く油点草 このところ空き地黄となり泡立草 青空の紅き林檎を捥ぎ取りし 体操服中学生の案山子かな 古寺の土塀崩れし破芭蕉

空の色映していつぷくとんぼの目

雲の峰高校球児の友逝けり

没年は大空襲の日墓洗ふ

◎宣言は蝉がしてをり梅雨の明け

虎尾草の花舞ひ上がる風のあり 端居して極楽よりの余り風 枝先の風に撓へる合歓の花 四阿を額に紫陽花色弾む 夕顔の蔓すさまじき命かな

かみきりの飛ぶより速き走りかな

八の字に茅の輪くぐれば空青し 息づかひのやうに明滅蛍の夜 鳴き果てて真夜の静けさ時鳥 黒南風や釣人の背のみなまるし

◎松蝉の声耳奥にへばりつき

◎蓮華坐に夕日目映き練供養 新緑を突き抜けケーブル山頂へ 葉桜や若人の顔漲りて カスタネットの如歯切れ良し初蛙 芍薬の蕾のままに揺れてをり 父と二人桃一本の袋掛け

◎惜しげなく花屑の道歩きをり

妖しくてなぜか寂しき夕桜 大往生葬列行けり花吹雪 上千本吹き上がりくる花吹雪

イヤリングを片方失くし犬ふぐり

縦笛や古希の手習い春の風 梅見して梅が一番好きと思ふ やはらかき夕日蓬けしねこやなぎ 白子干つかみ量りに足すおまけ 枝先にこぼるる光枝垂れ梅

◎人知れぬ後遺症あり冬の草

きびしさのあとのやさしさ四温の日 沈黙や絵踏なき世の神畏る 夕暮れの紅梅あたりぽっとして もしかして初音を聞けり今日は吉

音も無く夫婦二人の三日かな

氷河湖のコバルトブルー冴え冴えて 蝋梅や近付き見上ぐ空の青 寒禽や声こだまして原生林