2018-01-01から1年間の記事一覧

◎初物のまだあをくさき林檎かな

◎嵐去り朝の静けさ小鳥来る 晴天の先へ先へと芒の穂 働き方改革と言へ夜業の灯 蓑虫の風に漂ふ定めかな

願ふことなど忘れさせ星流る

気まぐれに泊まりし宿の星月夜 今夜からまたひとりなり門火焚く 警策に強弱ありて堂涼し ただ見てゐるだけの門徒や草の市 昨夜の雨の雫を宿し白木槿

松籟やあごひも結ぶ夏帽子

折りたたむ日傘のぬくみ膝にあり 少し揺る二の腕白し夏夕べ 金亀虫緑色して死んでをり

◎漆黒に浮遊している蛍かな

目覚むれば有明の月ほととぎす 日を浴びて一直線に翡翠飛ぶ 的しぼり翡翠一瞬の漁成功

◎こぼる日の揺れて清らか雪の下

熊蜂に食らひつかれて揺るる花 目まとひの目に飛び込みし雨意の風 末っ子のまま老いにけり桐の花

◎妖艶に立膝観音御開帳

石室の青天井や風光る しとど雨に濡るる牡丹の俯けり 天に通ず一本道や蝦夷の春 物音のひとつもなくてのどかなり

いつまでも娘は娘雛納む

ただ虻の羽音気怠き昼下がり 生飯投げやアンダースローの修二会僧 石室の青天井や風光る 若鮎の一途に川を遡る 紫雲英田は郷愁さそふものとなり

料峭やコンサート果て人流る

売物件屋敷の古木梅ふふむ 下萌の土の湿りや昨夜の雨 つやつやと葉のたくましき君子蘭

正座してそこはかとなき淑気かな

筆跡の一目なつかし年賀状 近づきても知らぬふりして寒鴉 福寿草仲良きことは美しき