青嵐ぢっと動かぬ虫のゐる

私が俳句に興味を持ったのは、最初に社会人となったK社だった
今はもうない丸善石油の本社ビルにK社大阪営業所があって、社員食堂が一緒だった
丸善の社内掲示板だったろうか「句会 会員募集」を見て仲間に入れてもらったのか、何となく誰かと話をしていて誘われたのか定かではない

他社のものでも好意的に参加させてもらえたのは、古きよき時代の大手メーカーのおおらかなところであり(だからつぶれてしまった?!)俳句という古いイメージの中に当時は若かった娘に歓迎、といったところもあったように思う
母は若い頃から書くことが好きだったようで、俳句やら短歌などを帳面に書き綴っていて、ちょっとした共通の話題でもあった

丸善本社のおえらい方が主幹されていて、とても可愛がっていただいた記憶がある
生駒・高山の茶筅を見学しての吟行もあったなと懐かしく思う

しかし、次の職場に変わって以来、ずっと俳句のことは忘れていた
何を思ったか昭和59年に「現代俳句歳時記」を買っているが・・・

平成15年初版「必携季寄せ」(角川書店) これはインターネットをやっていて、ふとネット俳句なるものに気付いて、そこで紹介されていた本ではなかったかしら・・

その後、ばったり会ったお友だちに近くの句会を紹介されて参加するようになった
以来、その季寄せが活用、と書きたいところだったが、もっぱら「ホトトギス 俳句季語便覧」の入っている電子辞書が主役

季寄せは眠れないときのための枕元にある本の仲間だ

また俳句をやり始めてから、K社のOB会(ほんの少しの期間しかいなかったのに、正式な会社のOB会に入れてもらえるなんて、こちらもおおらかな古きよき時代の会社)で、俳句をなさっているというY氏とお話しするようになった  当時,K社にいるころは、年齢も違うし、仕事でも接することもなく、こちらは知っていても、Y氏は私の名前すらご存じなかったようだ

ご自分の句集を毎年贈ってくださって、好きなのを私がメールでお返事する、いわゆるメル友!
タイトルの青嵐は句会の先生にも◎をいただいたが、Y氏もとてもほめてくださった

一昨年、春先にまだ40代の息子さんを亡くされ、その夏に急逝された

奥様も同じ会社でOB会にもご一緒だった
昨年、奥様から「Yが俳句をする人に薦めていた季寄せです」と送ってくださったのが
2007年 25版 「新版 季寄せ」(角川書店
直筆だろう、短冊も添えられていてとても感慨深く、昨日のことのようによみがえる

苔に生まれ苔に溢れし岩清水   尚久


それから、Nちゃんからいただいた有松絞り(絞りであることはわかったが、有松絞りというのを知らなかった)なんて懐かしい色合い、手触り、ぬくもりなんだろう
早速、Yさんの季寄せに